前回に引き続き情報リテラシーのお話。情報リテラシーとは、今の時代の膨大な情報の中から、自分にとって必要なものを目的に応じて探し出し、それを活用する力のことです。現代は多くの情報があふれ、スマホがあれば簡単に必要な情報を手に入れられる時代ではありますが、中にはフェイクニュースのような嘘の情報や、かなり偏った意見もあったりします。
その中から正確で有用なものを探し出し、使いこなす力をつけるための方法として、わたしは最近よくヘーゲルが唱えた「弁証法」を考えます。弁証法とは、ある一つの物事を考えるときに、それとは反対の考え方をあえてしてみるということ。自分が正しいと思う事柄に対してそれとは逆の考え方や、否定する考えを持つことによって、自分の考えの悪いところが見えてきたり、その結果より良い意見や新しい考え方が生まれたりするのです。つまり、Aという結論を持つにしても、単純にAは正しい!と思い込んで突っ走る事と、Aとは逆のBという意見を考えてみて、やはりAが正しい、と思うのとでは、結論は同じでも全く違うということです。わたしはこのことはこれからの時代ますます大切なことだと考えています。インターネットに代表される情報の中には真偽が不明なものもたくさんあります。一つの情報のみを鵜呑みにして正しいと信じ込むのはとても危険であるし、何より自身の考えを持つ力を鍛えられません。自分にとって必要な情報を得たときに、それとは反対の視点を持ち、これは本当に正しいのだろうか、そして、より良い結論を導けるように自分の頭で考える。これがとても大事なことだとわたしは思うし、なにより論理的思考力をつけるためにもとても有効なのではないかと思います。