この仕事を続けて、最初の頃と明らかに変わったことがあります。最初私は、いかにうまく教えるかが成績を伸ばす一番のカギだと思っていました。ただ、こちらが酸欠になりそうなほどたくさん口で説明して教えても、成績が上がること上がらない子がいる。その違いは何か。
それは結局、教えられたことを定着するための工夫をしているかしていないか。難しい言い方をしてしまいましたが、要は、覚えるために類題をたくさん解いて演習をしたり、教えられたことをノートにまとめたり、効率的な学習をすることによって、覚えたことを忘れずに定着させているか、なのです。それに気づいてから私が意識していることは、ひとり一人のコーチになること。教えられた知識よりも自分で学び取った知識のほうが確実に頭に残るので、ただ教えるのではなく、知識が効率的に定着するように勉強のメニューを考えて取り組んでもらう、ということです。そして、それは、ご家庭で一人ひとりの保護者の方もできることなのではないかと思っています。
「勉強しなさい!」つい言ってしまいがちな言葉です。小学校高学年は1時間程度、中学生になると数時間は勉強するように指導もされます。でも、子どもひとりの力で、勉強しなさい、と、放り出されても、どうやったらいいかわからなくて当然。私は、ある程度学習習慣がつくまでは、学習メニューを保護者の方が考えることは大切だと思います。ただ、その時に、ただこれをやって、次はこれ、と、やみくもに上から押し付けるだけにはならないこと。最終的に『自学自習力』、ひとりで学び育む力をつけることが大切なのですから、間違えた問題は必ずノートに解きなおし、答えだけでなく過程もすべてノートに残そう、など、効果的な学習の方法をアドバイスすること。子どもが意外と『端折り』がちなところにこそ大切なことがあったりします。そこを見逃さないで指摘してあげてほしいのです。ある程度学習方法が分かってきたら、ママコーチは卒業しても、学習習慣と正しい方法で学習する力をつけた子どもたちは、壁にぶち当たっても、大きく躓かずに乗り越えていくことができると思うのです。