2019年5月

後悔しない人生を歩むために 2018.3

 わたしは仕事柄、人からの相談を受けたり、人の話を聞く機会もあるのですが、いろいろな人の話を聞く中で実感として感じることは、たとえ失敗に終わったことであっても、本人ががむしゃらに努力したことや自分の気持ちに素直になって行動したことに関しては、後悔は少ない、ということです。

逆に、「あのときもっと頑張っていたら」「あのとき行動に移していたら」・・・行動しなかったこと、努力しなかったことに関しては人は驚くほど長い間引きずっていることが多いのです。

 特に「親」という立場になると、自分の子供には失敗してほしくないという気持ちが働くのは普通のことだと思います。だけど、命を危険にさらすような失敗でなければ、失敗して学ぶこともあるし、その失敗が逆にその後の人生で大きな輝きを持つことだってあるものです。親心ゆえ、子どもが躓きそうになる前に石を全部よけてあげたくなる気持ちはとてもわかるのですが、そうでなく転ぶ姿を見守ることこそが大切なのかなと思います。そして、子どものことだけでなく、一人ひとりが自分の気持ちに正直に、多少の失敗を覚悟して行動してほしいと心から願っています。そうすれば、きっとどんな結果に終わっても、あの時…という後悔を抱えて生き続けることは少なくなるのではないかと思います。

勉強を楽しむということ 2018.2

   

 勉強がうまくいっている子に共通して感じることは、いやいやでなく純粋に楽しんで、前向きなオーラが出ているように見えることです。逆に言うと、いやいや勉強をしているように見える子は、なかなか成績が上がりません。もちろん、わからないことが多い故になかなか気持ちも前向きになれないという側面もあると思いますが、それでもやはり勉強が大嫌い、という気持ちでは成績向上には結びつかず、ますます勉強がつらく苦しいものになるという悪循環になります。

 話は飛びますが、例えば国語の教科書の本文や模試の文章を読んで、「この物語の続きを読みたい」とお子さんが言ってきたことはありませんか?これは一つの例ですが、教科書を読んで単に勉強として捉えるのではなく、面白い、もっと読みたい、と好奇心を持つことは勉強に対する前向きな気持ちを育てるとても良いきっかけになると思います。わたし自身、小2のときの窓際のトットちゃんに始まり、模試や教科書の抜粋で出会い買って読んだ本は何冊もあります。新学期には国語の教科書をもらうのが何よりも楽しみでした。ほかの教科でも、子供が純粋に興味を示したときにはそれを否定せずに追及させることは、勉強に対する前向きな気持ちを持たせるうえでとても大切なことではないかと思います。

子どもの味方になっていますか? 2018.1

  

「あなたの一番の味方は誰ですか?」こんな質問を子どもにしたら何と答えるでしょう。真っ先に自分をあげてくれる自信はありますか。

 勉強につまずく子どもを見ていると、自己肯定感の低さを感じることがあります。自己肯定感とは、自分はかけがえのない存在であると思える感情のことで、この気持ちが低いと自分の存在に自信が持てずあらゆることに意欲的に取り組めなくなったり、人生を楽しめなくなることにつながります。そして、自己肯定感を育てるために最も重要なことは、最もそばにいるお母さんをはじめ保護者がどんな時でも味方であることだと思うのです。そんなことは当たり前だと思われるかもしれませんが、子どもの中には、自分が愛されているのは自分がよい子だからだ、というような条件付きの愛情と捉えていることがあります。今流行りの忖度という言葉がありますが、忖度できるのは大人で、子供というのは、良くも悪くも言われた言葉をそのまま受け止めまてしまう分、大人が思っている以上に傷ついたりしやすいのです。子供の自己肯定感を育てるためには、お母さんお父さんは自分がどんな子も愛してくれている、という自信を持てるようになるくらい、どんな時も無条件で、絶対的に味方である、というメッセージを常々伝えることです。世界中の誰も信じてくれなくても、お母さんだけは信じてくれているという自信を持っている子供は、少々のことではへこたれないと思います。

テストは終わった後が肝心 2017.11-12

 2学期も後半に入り、テストシーズン真っただ中ですね。テストのときにわたしが心がけていることお話しします。

それは、結果が出た後は、どんなに悪くても絶対に文句を言ったりしないということ。怒るなんてもってのほか。文句を言ったところで結果は変わらないだけでなく、勉強に対するモチベーションが大きく下がり悪循環だからです。結果がどうであれ、まずは頑張ったことをねぎらい、きちんと答案を見てよいところを具体的にほめます。例えば計算問題はよくできているね、とか、間違っていてもここまでは合ってたね、とか、間違いがたくさんあってもこんなに一生懸命書いてるじゃないか、など。どんな答案でも必ず褒めるところはあるものです。そして、そこから具体的にこの問題はここを気を付ければ正解になるね、などと、惜しい問題を探していくと、あと少しの頑張りで点数をあげられる問題が見つけていきます。ただ、そこで気を付けたいことはケアレスミスも実力のうちということを本人にきちんと理解させることです。後からできたのは誰でもいえることで、テスト中にミスをしない力こそが実力です。ミスを言い訳にする人はいつまでもミスが減らない傾向があるように思います。

次に効果的な解き直しについて。

テストは終わった後の解き直しがとても大切というのはよく言われる話で、学校単位で取り組んでいる学校も多く、とても素晴らしいことだと思います。ただ、中にはとき直しの方法がよくわからない子もいるのではないでしょうか。先生の模範解答をただ丸写ししているのでは力にならず、勿体ないと思います。そこで、簡単なポイントを。まず、知識を問うような問題の場合は、ただ答えをノートに書いていくのではなく、答えをしっかり見て覚えてから再び解いたり、穴埋めのような問題の場合は穴埋め以外の部分も含めてノートに書き写すなど、覚えるための工夫が必要かと思います。特に社会科や理科の場合は年表や図にまとめたり、自作参考書が作れれば最高ですね。

そして、数学や理科の計算問題のような問題は、もう一度問題をよく読んで、じっくり考えなおすことが大事です。ただ、問題の難易度は様々で、一人一人の能力や目標によっては、できなくてもよい問題も当然あります。正答率が極端に低い問題に関しては、難関校を目指す人以外は「周りもできないから、これはできなくても全然大丈夫!それよりも、ここの問題でミスをしないように、鍛えていこう!」と安心させることも大切です。

一見してわからなければ、先生に聞いてみるとよいでしょう。

頭の中に木を育てよう! 2017.10

   

 勉強に暗記は切っても切り離せないものですが、勉強ができる子は体系化、グループ化を頭の中できちんとしています。キーワードを一つ上げるとそれに関連する言葉がいくつも出てきたり、いわば頭の中に大きな木があるようにその中で最も大切な幹の部分と枝葉の部分、根っこの部分という分類も自分の中できちんと整理されていて、取り出しも簡単なのだと思います。一方暗記が苦手な子は、覚えたことがすべて葉っぱのように、大事なこともそうでないことも、バラバラに並んでいます。これではいざどれを使うか取り出すにも大変ですね。極端な話、リンゴがみかんに変わっただけで算数の式を変えてしまう子供も実際にいます。

高校時代、倫理の先生が教科書1冊の内容が3枚程度のプリントに体系化されるプリントをくれました。暗記が苦手な子は人の話を聞くときも、ノートまとめをするときも、樹木のどこに当たるのかを分類しながら聞いたりまとめる癖をつけ、頭の中を関連すること動詞つなげていくことができるようになると、膨大だと思っていた情報をまとめで覚えることができるようになり、暗記が格段に楽になっていくはずです。 t,{sh

学習計画を管理する1冊の手帳 2017.9  

   学習計画を管理する1冊の手帳  

 以前、学習内容を毎日記録しよう、という話をしことがありましたが、今回はそれをバージョンアップさせたお話です。受験前、よく点数が伸びていた子が、「毎日今日やることを紙に書き出して、終わったら線で消していき、終わるまでは寝ない」と言ってました。勉強は計画が大切で、計画を立てなければテスト直前に大量にやり残しを生む羽目になってしまいます。

それを解決するのが1冊の手帳。1か月のカレンダーでもよいかもしれません。それに、1週間先くらいまでの計画を立てましょう。ポイントは、子供に決めさせることです。誰でも、も自分で決めたことの方がよく取り組むからです。そして、終わったら赤ペンで線を引き、消していきます。終わらなかった場合は消さずに次の日以降にできなかった内容を落としこんでいけば、計画の修正も容易です。保護者の方は、その余白に励ましの言葉を書き込んだり、シールを貼ってあげると子供のやる気もますますアップします。

自分で学習の計画を立て、取りくみ達成することは、将来とても役に立ちます。勉強はもちろん大切ですが、それを通して社会に出た時に役立つ力をつけていくことがより大切ではないかと思います。 (n);if(n

自己肯定感を育てるほめ方叱り方② 2017.8

   

 前回、ほめて育てた方が、長い目で見た場合子どもの自己肯定感をはぐくみ成績も上がる…というお話をしました。でも、毎日生活していると、ほめてばかりもいられないよ…というのも本音でしょう。

そこで今回は叱るときも、自己肯定感を損なわない工夫をお話しします。ポイントはいたってシンプル。youではなくIで叱るというだけです。つまり、「あなたが」とか「本当にお前は…」などと言うとどうしても相手の人格そのものを否定する言葉につながりかねず、子どもは自分自身がダメな存在なんだ、と受け取ってしまいかねないので、たとえば「…されてお母さんはショックだった」「そんなこと言われてママは悲しい」など、自分を主語にして話すだけで、行動のみに非を向けることができるのです。(そしてこれは、褒めるときにも言えるのです。)

叱るのは愛情があって心配だから。だけど、子どもも独立した人格を持った存在なので、頭ごなしに否定するような叱り方では子どもの自己肯定感が育たずに逆効果です。叱る中にも子ども自身のことを否定せずに認めてあげることで、子どもは自分に自信を持つことができ、のびのび育っていくと思います。 kd

自己肯定感を育てるほめ方叱り方① 2017.7

   

 ほめて育てるか叱って育てるか。勉強の場面でもしばしば議論が分かれることと思いますが、わたしは間違いなくほめて育てるほうが子どもは伸びると信じています。中国ではタイガー・マザーと言って子どもを完全にコントロールして育てる母親が一時期話題になりましたが、確かに目先の成績は上がるかもしれません。しかし、長い目で見た場合、親が力で押さえつけて勉強をさせ続けると、子どもが無気力になったり勉強が大嫌いになるなど様々な弊害が出てくると思います。

子どもは、お母さんお父さんのことが大好きです。期待にも精いっぱいこたえようとしています。ただ、学年が上がるにつれ難易度は上がりますので、徐々に期待にこたえられなくなってくる子もいます。そのときに自分の存在そのものに価値を見出せなくなってしまい、それが無気力につながったりするのです。

自己肯定感。学習を始め子どもの能力を引き出す心の土台として、最も大切なものだと私は考えます。そしてそれを育てるには、まず、何よりもほめることが大切だと思うのです。

リビングを効果的に② 2017.6

 

 前回は好奇心を育てるリビングの工夫について書きましたが、今回はずばりリビング学習のお話。流行っていることにはそれなりの理由があるものですが、リビング学習のメリットは何と言っても「学習の様子が目に見える」こと。部屋に入ってしまえば何をしているかわからないという悩みはある程度解消されるでしょう。ただ、常に隣に座って子供の学習に付き添う必要はありません。勉強は結局自分で何とかするもの。そのような学習はいずれ限界を迎えるからです。

保護者としては、学習量と内容をチェックしてあげるとよいでしょう。効果が出ていない子は、時間は十分でも解いている問題量が少ない(要するに集中して学習できていない)とか、やりっぱなしでまるつけも解き直しもしないなど、問題点がたいてい見つかります。

そして、食事等で中断するときにはすぐにさっと片付けられて、再び取り組めるように、大きなかごなどの入れ物を一つ用意して、そこに放り込むだけで片付く仕組みを作ることも大切。リビング学習専用の机を用意しなくても、十分子供が学習しやすい環境を整えてあげられるのではないかなと思います。

リビングを効果的に① 2017.5

   

 今更珍しい話ではないのですが、成績が上がっている子の中にはリビングで学習している人が多く、リビング学習のスペースがある家がこのところ流行しているようにも思います。わたしは、子供が安心、集中して学習できるのであれば場所はどこでもよいと思うのですが、普段の生活でも勉強と子供が思わない方法で知的好奇心の芽を育てるような仕組みを、小さいうちからリビングに作ってあげることはとてもよいと思います。

それは何も難しいことではなく、小さい本棚に辞書や地球儀を置いて、気になる言葉が出てきたり、子どもに質問をされたら、一緒に調べてみるのです。今はスマホで何でも調べられますが、あえてそうじゃないものを使い、使い方も含めて学ぶ。解決ができたら「解決ができてよかったね!」「そんな疑問を持つようになるなんてずいぶん成長したなぁ」と、素直にほめてあげる。問題が出てきても解決する方法を知り、解決したときのうれしい気持ちを大切にすることが、子どもの知的好奇心の芽を育てのではないかなと思います。

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