母語の重要性 2017.4
日本に生まれ、当然のように日本語を使う人間として、日本語ほど完成度の高い言語はない、と、しばしば日本語を大絶賛する私は日本語に母国語として出会えたことを心から嬉しく思うのですが、「母語」という言葉はご存知でしょうか。母国語よりももっと本能的なものであり、生後数年間のうちに赤ちゃんが身近でよく関わる人たちから自然に受け継いだ伝承語のことで、一人ひとり異なっています。そしてそれは、その後の人生の知的活動において、思考するうえで最も重要な、言語感覚の土台を作るものなのです。
そんな母語を形成する大切な時期は4歳程度まで。何よりも日本語できちんと母語を作ることが何よりも大切なのではないかと思っています。日本語は比較的難しい言語です。母親を英会話教室の先生に持つ元NHKの有名なアナウンサーの方が、「それなら娘さんも小さい頃から英語に触れさせられますね!」という問いに「いいえ、3歳までに母国語の9話位以上を習得すると言われているので」と答えていたことように、小さいうちはお母さんの言葉で赤ちゃんに語りかけて、日本語の土台を築いてあげることが、その後の知的活動において何よりも大切なことだと私は思っています。