弁証法的視点のもう一つのメリット 2018.6
前回、弁証法的視点を持つことの有用性について書きました。弁証法とは、ある考えを持った時に、それに反する考えをあえてぶつけてみることによって、自分の考えの悪いところが見えてきたり、その2つを合わせてより良い考えが生まれて来るというものですが、弁証法のもう一つ良いところは自分の意見と違う考えに対して柔軟に対応できるようになることです。常に自分の中にもう一つ反対の考えを持つことに慣れておくと、他者から自分の意見に反論されても、それを排除しようとは思わなくなります。
民主主義とは多様な意見を持つ人々が共に生きる社会であることです。しかし、ネットの世界ではしばしば自分と違う意見に対して過剰なほど叩いたり否定したり、対立する意見を認めない、排除する、ということが起きています。海外に比べ、日本はもともと画一化、横並びが良しとされてきた歴史もあり、自分の意見を否定されると自分そのものを否定されたと感じ、怒りを覚えたりする人が多いように思います。しかし、一人よりも二人、二人よりも三人の方が、多様な意見、自分にない視点が加わって、よりベターな考えが生まれるはず。自分と違う意見は意見としてすんなりと受け入れられるようになるためにも、自分の思いつきを絶対として突っ走るのではなく、常にそれを批判する自分の目を持つことは大切だと思っています。